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2025.11.11

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原因探しをやめると、うまくいくことがある、ということが『ケアと編集』(白石正明著 岩波新書 2025)に書かれていて、これがとても興味深い内容でした。
 
心を病んでしまったとき、人は「なぜ(原因)、こんなふうになってしまったのか」と(過去に遡って)考えます。医師もそうです。原因をつきとめることで治療法がみつかるかもしれないし、よき薬を処方することができるかもしれないからです。
 
もちろんそれは間違ってはいません。でも時間軸という別の視点で考えると、原因探しは過去に遡る行為です。過去は変えることができません。
 
時間軸を過去ではなく「未来」に向けるとどうなるか。その例としてベてるの家の活動が本書で取り上げられています。
 
べてるの家は精神障害を抱えた人の活動を支える拠点として北海道浦賀町に1984年に設立されました。べてるの家は、「心の病」の原因探しのようなことはせず、むしろ特性を積極的に表に発信する「幻覚&幻聴妄想大会」という発表会(?)があります。幻覚や幻聴の原因をさぐるのではなく、自分達の幻覚や幻聴をどんどん表に出し合う。参加者はたんに「聞く」だけです。でも不思議なことに、それまで悩まされていた幻覚や幻聴が軽くなる人たちがいるそうです。
 
幻覚や幻聴を互いに出しいあうことで「孤立」しなくなります。これが、とても大事なんだそうです。「孤立しない(させない)」自分、時間軸で見ると未来なのかと私は解釈しました。
 
私自身も30代で神経を病み10年くらいは自分でも使い物になっていなかったなと思う時期がありました。当時は家庭環境のせいにしたりしたこともありました。でも、それを考えても「明るい未来」ってやってこないんですよね。
 
神経が病んで仕事ができなくなっても食べていかなければならず、失敗しながら(電車に乗れずに打ち合わせに参加できないとか)食いつないできて今があります。当時は、まったく意識していなかったのですが、「仕事をして食っていく」。これが未来に向けての活動だったわけです。
 
原因探しを決して否定はしません。原因をつきとめることで、次なる災厄を防ぐこともできます。でも、原因(過去)だけに見ていると先に進めなくなってしまと思うんですよね。
 
書こうと思っていた話が横道にそれたままになってしまいましたが、『ケアと編集』、おすすめです。とくに支援に関わる人はご一読を。

 

トビラコ店主

 

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トビラコ店主が小学館子育てサイトHugKumに執筆しました。
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