トビラコへようこそ!
〜店先で、ちょこっとおしゃべり〜
療育アロマについて、ときどき聞かれるので、(考えをまとめる意味でも)自分で自分にインタビューしました。
●表情の硬かった子が、突然笑顔に
–アロマを扱うようになったきっかけは?
東京・亀有(葛飾区)の放課後デイ「ソラアル」さんにお邪魔していたときのことです。表情の硬い男の子ー小学5年生くらいでしょうかーがいました。私と目があっても硬い表情のままです。まるで私がそこにいないかのような振る舞いでした。
男の子は運動を終えて、床に敷かれた大きなバスタオルに腹ばいになりました。何をするのかと見ていたら、施設長の河高康子さんが、オイルのようなものを男の子の足裏から脚、背中と丁寧に塗ってマッサージをしていました。
–それが、アロマオイルのマッサージだったんですね。
そうなんです。マッサージが終わって、立ち上がった男の子は、満面の笑みをたたえて、私の顔を見ました。さっきの硬い表情の、仏頂面だった男の子とは別人のようにやわらかな顔つきになっていたのに、とても驚きました。
男の子が帰った後に、河高さんに聞いたんですよ。「何をしたの?」って。そうしたら河高さんは、精油(エッセンシャルオイル)が、たくさん入った木の箱を見せながら、アロマオイルでマッサージしたことを教えてくれました。
アロマ自体は知っていましたけど、アロマオイルでマッサージするなんて知らなかったんです。そして、河高さんが「トビラコでもアロマ作ろうよ」とすすめてくれました。
●「補完医療」として
–そもそもソラアルさんでアロマを使い始めたきっかけは?
ソラアルさんと医療提携しているクリニックが徒歩3分くらいのところにあります。朱クリニックです。朱クリニックは、一般的なクリニックの診察の他に補完医療として、統合医療にも力を入れています。
統合医療というのは、西洋医学では力の及ばないところを補う医療です。だから「補完医療」と呼ばれています。アロマオイルを使ったマッサージもまた「補完医療」と朱クリニックでは位置づけていて、発達障害の子にも行っています。
朱クリニックの院長、朱永真先生のお子さんがダウン症ということもあって、朱先生は障害のある子への補完医療にはとても関心が高いんです。それで、朱クリニックの薬剤師兼アロマセラピストの人たちが、ソラアルさんの支援員や保護者にアロマオイルを使ったマッサージのミニ講習会などを開いていました。支援員や保護者が子どもたちにアロマオイルでマッサージをできるようにしていたわけです。もっとも、その講習会は保護者にもリラックスしてもらいたいという、もう一つの狙いもあったようです。保護者支援です。
ソラアル施設長の河高さんが「トビラコでも精油を作ろう」と誘ってくれたのも、そのような下地があったからです。
–どのようにして発達障害の子のための精油を開発したのですか?
朱先生に医療監修をお願いしました。朱クリニックに勤務している薬剤師でアロマセラピストの久保浩子さんが実際には精油(エッセンシャルオイル)をブレンド。ブレンドする植物や配合の割合を決めるのに、ソラアルさんに通っている子ども30人と保護者にご協力いただいています。その中には、嗅覚過敏の子もいたので、好き、嫌いという声はいろいろ出ましたね。
途中、朱先生がすごくはりきって、子どもたちに挑むように「これで、どうだ」と言わんばかりにいろいろな香りを試したそうです。河高さんから聞いた話ですけどね。
久保さんからおもしろい話を聞きました。子どもが嫌いという香りをわずかにブレンドしておくと、意外にも香りに奥行きが出て、嫌いと言っていた香りを好きになることがあるそうです。わずかに混ぜるというところがポイント。おもしろいですよね。そうやって、ようやくオリジナルのブレンド精油ができあがったのが、2017年8月終わりごろです。
香りは2種類。リラックスする香り(オレンジ、ラベンダー、ディートリー)、覚醒する香り(レモン、ペパーミント、ユーカリの精油をブレンド)です。リラックスする香りを「おだやか」、覚醒する香りを「きりり」と名づけました。
「おだやか」には、精油(キャリアオイル)とマッサージオイル(アロママッサージオイル おだやか)、アロマシール(貼る療育アロマ おだやか)、
「きりり」は、精油とスプレー(ナチュラルアロマスプレー きりり)、アロマシール(貼る療育アロマ きりり)があります。
–実際に販売してみてどうですか?
ヘビーユーザーが増えていますね。特に「アロママッサージオイル おだやか」は習慣になっている子が多いです。マッサージしてから学校に行くと落ち着けるとか、寝る前にマッサージするとよく眠れるとか。そんな声を聞きます。
お客様からもよくメールをいただくんですが、登校前に玄関先「貼る療育アロマおだやかな」を子どもに渡すそうです。子どもは、下着のお腹のあたりに貼って「お母さんの匂い」と言って安心するそうです。香りの力ってすごいなと思いますね。
発売以来、年2回、開発者の久保浩子さんを講師にお招きしてセミナー&ワークショップを開催しています。これがとても人気があって、毎回多数のキャンセル待ちが出てしまいます。今年からは、開催の回数を増やそうと思っていたところに、コロナ。開催が難しくなり、とても残念です。
–今後は、どのように販売していきますか?
精油には、自律神経を整える働きがあります。発売当初から、「癒しのアロマ」ではなく「補完医療」の側面をもっとアピールしたいと朱先生たちと話してきました。発達障害の子は、みな自律神経の問題を抱えていますからね。
ここにきて、発達障害の子の特性に働きかけるというエビデンスが少しずつ出てきて、今、久保さんが論文をまとめています。久保さんはラベンダーの研究で医学博士号をとっています。論文は、8月発行の専門誌に発表される予定です。私自身もアロマの学校に通って、精油の効能だけではく、解剖生理学、特別なニーズのある人へのケアなども学びました。今後は、エビデンスをもとにアロマの「補完医療」の部分に注目してもらえるようにしたいと思っています。
トビラコ店主
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小学館の子育てサイトHugKum(はぐくむ)に連載していました。
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【香りお試し便のお知らせ】
tobiracoでは、発達障害の子のための「補完医療」として療育アロマを発売しています。
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という方のためには「香りお試し便」(費用は切手代のみ)をお届けしています。
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トビラコが編集した本
『発達障害の子のためのすごい道具』(小学館)
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