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2024.02.07

トビラコへようこそ

 
~店先で、ちょこっとおしゃべり~

お試しいただける商品をまとめました、こちらです。


 

「自立とは依存先を増やすこと」。熊谷晋一郎さん(東京大学先端科学技術研究センター准教授)の名言です。
 
もし18分、どこかで時間が作れたら、ぜひ熊谷さんの依存の価値を再考する 熊谷晋一郎の講演を聞いてみてください。字幕付きです。
 

「依存」と「自立」は、一見すると相反するように思われるかもしれません。でも、人はそもそもたった一人で生きていくことは、不可能です。障害があろうとなかろうと必ず何かに(誰かに)依存しているわけです。

 
依存することがいけないことのように言われ始めたのは、歴史的に見ると最近のことだそうです。
 
それまでは、依存というのは決して悪い意味に使われていませんでした。日本でも昭和の真ん中あたりまでは、人々は近所の人間関係に依存していました。
 
ちょっと買い物にいく間に子どもをみてもらうとか。隣のお姉さんの洋服のお下がりをもらったり。作りすぎたおかずを分け合ったり。頭のいい大学生のお兄ちゃんに勉強をみてもらったり。これは私が育った昭和の時代はあたり前でした。熊谷さんの言葉を借りると、人間関係の依存です。互いに依存しあっていたわけで、依存=悪ではなかったと思います
 
「人の助けを借りずに生きていくこと」=「自立」のように言われ出してからおかしなことになりました。
 
人はとても弱い生き物です。早く走れないし、サバンナの動物のように長く走り続けることができないから電車や車に依存します。鳥のように空を飛べないから飛行機に依存します。移動するのになんらかの道具に依存するのは、車椅子の人だけではありません。誰もが、移動ひとつとっても道具に依存しているわけです。そして依存先は多いほど、移動が自由になります。遠くまでいくことができます
 
人間関係も依存です。そして依存先が多いほど生きるのはラクになります。親子関係だけよりも、学校の友人、職場の同僚、趣味の仲間、目上、目下、メンターとなる人などなど多彩な依存先があることで、誰かとの関係が没になっても安定して生きていくことができます。
 
でも、これが、人間関係が親子だけ、あるいは家族だけとなっていたらどうでしょうか。親や家族との関係が破綻した時には、誰にも頼れなくなってしまいます。とても危ういと思います。あるいは、人間関係の依存先が特定のママ友グループだけの場合も苦しくなる可能性がありますよね。
 
深い人間関係である必要はなく、広く浅くでもいいから、多彩であることが大事。
 
子育てをする上で、子どもに障害があろうとなかろうと、依存先を増やすことを親は教えるべきではないかと思うのです。
 
学校だけしか依存先のない子は、学校がうまくいかなくなった時に居場所がなくなります。でも、学校以外に居場所をいくつも持っている子は、学校との関係が切れても生きていけます。
 
熊谷さんは、人の依存先を次の4つに分けました。
 
1水平な人間関係 
親子や友人など

2垂直な人間関係 
カリスマや立場の立場の弱い他者など

3物質 
アルコールや薬物など

4自分自身 
能力・腕力・見た目など

 
どれかひとつだけに特化してしまうことが危険だといいます。3の物質のアルコールは、過度でなければいいわけです。
 
4の自分自身に過度に依存することを、熊谷さんは「自分依存」と名づけ、他人に依存するのがいけないことと思わされた結果だと言います。「ありのままの自分を他人に見せられず、仮面をかぶっていたり、他者に受け入れられやすいように自分を偽る」。これが「自分依存」です。自分しか依存(頼る)できないととても苦しくなってしまいます。
 
「生きづらさ」の根本にあるのは「自分依存」ではないかと思いました。依存しなくては人は生きていけないと知り、依存先を増やして生きていくことが本当の自立なわけです。
 
ま、私の野暮な解説なんかよりも、熊谷さんの講演をぜひお聞きください。熊谷さんの話は、いつも「障害者」を入り口にしながら、全人類の話に有効な話をされます。

 

 

トビラコ店主

 

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