トビラコへようこそ
~店先で、ちょこっとおしゃべり~
お試しいただける商品をまとめました、こちらです。
「鉛筆の正しい持ち方を教えられる先生がいない」と聞いたのは、15年以上前のこと。
当時、私は子育て雑誌編集者時代でした。大阪で子どもたちに硬筆での書き方を教えている「児童かきかた研究所」の所長を訪ねた際にお聞きした話です。ここでいう「正しい持ち方」とは、文字が書きやすい持ち方という意味です。
所長はすでに故人となりましたが、当時は地元で硬筆での書き方教室を開き、小学生の子どもたちに硬筆での書き方を教えていました。その傍ら、小学校教師たちの研究会で硬筆指導のレクチャーもしていました。小学校に呼ばれて子どもたちに直接指導することも多かった所長。訪問する先々で気づいたのは、鉛筆をうまく持てていない子の多さです。
鉛筆を握りしめて書く子、鉛筆直角に立てて書く子、指を絡めるような複雑な持ち方をしている子など。書き方の練習をする前に、鉛筆の持ち方を教えることが先だと所長は考えました。でも、そもそも先生自身が鉛筆をうまく持てないことに所長は気づいていました。先生自身ができないことは、子どもに教えることはできません。
そこで所長が考案したのが「ユビックス」です。「工」の字を弓形にしたユビックスを人差し指と中指に挟んだ状態で鉛筆を持つと、文字が書きやすくなります。
書きやすい持ち方のポイントは、鉛筆の傾き加減だそうです。所長がさまざまに研究する中で導き出した最も書きやすい角度は、紙に対して鉛筆は60度。ユビックスを使って鉛筆を持つと、ちょうど60度の角度で鉛筆を持てるようになります。
試作品のユビックスは、先生たちに大変に評判がよく、関西のある名門私立小学校では1年生の児童全員に使わせるようになりました。大手鉛筆メーカーからも声がかかりのコラボレーションとして販売したところ、ロングセラーとして定着しています。
鉛筆の持ち方を教えるのは意外と難しいものです。親子なら、互いの関係が悪化する可能性もあります。教えるのが難しいときには、よき道具を使う手があります。大阪の小さな書き方教室から生まれた道具が、今では日本全国の子どもたちが使うようになりました。現場で、子どもたちをよく見る人が考案した道具は、やはり強いですね。
トビラコ店主
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