トビラコへようこそ
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夏休みは、子どもの動画を撮る機会が多いと思います。
旅行や帰省など「特別な日」の動画もいいのですが、ぜひ撮ってほしいのが、何気ない日常の動画です。
動画は、繰り返し見返すことができます。
すると、その場では気づかなかったことが見えてきます。
発語があまりない妹の動画を、趣味のように撮っていた時期がありました。
何度も見返しているうちに、妹が聴覚過敏であることに気づいたのです。
椅子を引く音や、食器を棚にしまう音がすると、体をビクッとさせていました。
一緒に暮らしていても、その場ではなかなか気づかないものです。
私は面白がって動画を撮っていただけなのですが、後になって、この方法は療育の現場でも使われていることを知りました。
作業療法士の木村順さんのセミナーで、一人の男の子が紐通しをしている動画を見た時のことです。
木村さんは、ある場面で動画を止めました。
男の子は手を動かしながら、隣に置かれた積み木を何度も見ていたのです。
「この子は今やっていることよりも、積み木が気になっています」
だから、テーブルの上には今使うものだけを置き、余計な情報が目に入らないようにする。
療育では基本的な考え方なのだそうです。
私は「ああ、動画はこんな見方もできるのか」と感心しました。
紐通しの療育なので、手先ばかり見てしまいますが、木村さんは目の動きを見ていたのです。
妹が聴覚過敏だとわかってからは、行動の意味が理解できるようになりました。
口腔センターへ向かう途中、地下鉄のコンコースで工事をしていたことがありました。
工事現場に近づくにつれてドリルの音が大きくなります。
すると、つないでいた妹の体がみるみる硬くなるのがわかりました。
そして、私の手を強く引いて、その場から離れようとしたのです。
私は妹の手を引いて、一番近い出口から急いで地上へ出ました。
すると妹は、心の底からほっとしたような表情を見せました。
動画のおかげで聴覚過敏だと知っていたからこそ、その行動の意味がわかったのです。
動画は、普段見過ごしてしまうことに気づかせてくれます。
見ているつもりでも、見えていないことは、案外たくさんあるのかもしれません。
トビラコ店主
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