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2022.09.19

トビラコへようこそ

~店先で、ちょこっとおしゃべり~

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部屋には空気圧というものがあって、部屋の空気圧に慣れるのにひと呼吸おかなければならない自閉症の人がいることを、韓国ドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」(ネットフリックス)で知りました。
 
主役の女性ウ ヨン ウは、ソウル大学法学部を主席で卒業した自閉症の弁護士です。
 
手のひらをパッと広げて指先をヒラヒラさせる。キンパ(韓国の海苔巻き)しか食べられない。好きなクジラの話になると止まらなくなる。聴覚過敏のためイヤーマフをつけて電車通勤する。想定外の出来事が起きるとパニックを起こす。これがウ ヨン ウの日常です。
 
ここまでは、よく知られている自閉症の特性です。
 
ドラマを見ていて、そういうこともあるのかと思ったのが、最初に書いた部屋の空気圧です。ウ ヨン ウは、ドアを開ける前に、目をつぶって指を折りながら3秒数えて入ります。
 
会議室に入るときもそうです。緊急の会議でみんなが緊迫した様子で集まっていても、目をつぶって指を折りながら3秒数えます。あるとき、上司に「早く部屋に入れ」と言われたウ ヨン ウ。「早く、数えます」と微妙に答えを外します。部屋の空気圧には敏感でも、その場にいる人たちの空気は読めないわけです。
 
ようやく謎が解けたのが、「私たち自閉症は、空気圧が変わるのが苦手で、慣れるのにひと呼吸おかないと入れない」と説明する場面でした。
 
私はてっきり、場面の切り替えが苦手だからひと呼吸おくのかと思ったのですが、そうではなかったのですね。場面が切り替わるといっても、毎日通っている弁護士事務所です。慣れた場所のはずです。ちょっと不思議だなとは思っていましたが、問題は「空気圧」だったわけです。
 
勉強になりました。
 
玄関のドアの建て付けが悪くなる原因のひとつが、外と室内の空気圧の違いによるものだそうです。各部屋も空気圧の違いを感じてしまう自閉症の人もいるということです。もちろんみんながそうというわけではないのでしょうが。
 
もうひとつ。このドラマを観て思ったことがあります。
 
ウ ヨン ウの特性を理解する人たちがいるから、彼女は働けるということです。味方になってくれる人、面白がってくれる人がいる。そして彼女自身が、自分の特性を説明できている点でも理解を得やすい環境をつくっているわけです。
 

 

 

 

トビラコ店主

 

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