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特別支援学校から紹介された就職先と保護者とのやりとり、今はどのようになっているのでしょうか。
養護学校(今の特別支援学校)に通っていた弟が、最初に勤務したのは学校から紹介された会社でした。
大手電気メーカーの下請けをしている中小企業です。弟は、そこでネジを閉めたり、バリを取ったりする仕事をしていました。
実家の片付けをしていたら、当時の勤務先と母とのやりとりを記した「就労日誌」が出てきました。連絡帳のようなものです。
日誌を読むと、勤務先の人がいかに弟を丁寧に扱ってくれていたかがよくわかります。ネジしめを1回で覚えたこと。ネジしめは本当は別の工具があるらしいのですが、あえて手でしめるように教えたそうです。すると弟は、最初は片手でしめていたのを両手を使ってしめるようになったと書かれています。自分で考えて工夫しているとお褒めの言葉が書かれていました。
「あえて教えない」「自分で考えて工夫をする」ということを、会社の人は考えてくれていました。教育的な要素が強かったのですね。そして読み進むと、随所に弟を評価してくれている言葉が見受けられます。
失敗も書かれていましたが、「われわれでも、この工程はうまくいかないことがあります」とフォローしてくれる配慮も。
弟も職場が気に入っていたようで、家庭で職場の話をしていました。
しかし、この会社は当時の平成不況の影響で、とても遠いところに移転することになってなり、弟は辞めざるを得なくなりました。
日誌を読み進めると、弟の手先の不器用さがあまり理解されていなかったことがわかります。数十年も前の話で、発達障害もそこからくる手先の不器用さも理解している人がいなかった時代です。本来なら、不器用な手先を使うのではなく工具を使えるようにしてもらうほうがよかったのかもしれません。
でも、当時は、そのうち慣れると思われていたことでしょう。「できる」ようになったところで、それは他の人の数十倍の労力を使っての「できる」なのですが。
日誌を読みながら思ったことがあります。良い人ばかりの職場でもあっても、それだけでは難しいということです。人としての優しさがあることは大前提として、そこに加えてその子の特性を知ること、そしてその子ができるような工夫があることがとても大事と思いました。
キットパスの日本理化学工業で最初に知的障害者を雇用した大山泰弘氏は、その工夫をした人です。チョークの材料を入れたバケツの文字がわからない知的障害のある人たちに、バケツに色をつけてわかるよう工夫しました。赤、青、黄のバケツ。色が目印です。文字が読めなくても、色ならわかると気づいた大山氏。きっかけは信号です。どうやったら覚えられるか悩みに悩んでいた時、ふと目にした信号機を見て思いついたそうです。信号の色を見れば誰もが行動できる。これだ!と早速、色で見分ける方法を導入したのでした。
文字を教えるのではなく、文字がわからなくも作業できる工夫。今でいう合理的配慮でしょう。障害に詳しくなくても大山氏はそれをしました。それからは彼ら彼女らは、間違えることなくきちんと仕事が遂行するようになりました。会社では欠かせない存在に。自分達がいることで会社が回っていくことを実感できたからこそ、知的障害のある人たちが定年まで勤め上げることができたのだと思います。
「いい人」だけの職場であっても、法定雇用率を達成するためだけの「障害者雇用」であっても、働く本人がやりがいを持てるかどうかは別です。弟の最初の会社にはとても感謝しています。でも、ひとたび不況にあった時に、真っ先に解雇されてしまうのも弟のような人です。もし、大山社長方式になっていたら話は別です。会社の成長と社員が持っている能力を最大限発揮できることの両方を考えられるのが、きっといい経営者なんだと思います。
トビラコ店主
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