tobiracoの療育アロマ誕生には、いろいろな立場の人が関わっています。医師、アロマセラピストでもある薬剤師、放課後等デイの子供たちと職員。
   
そのなかで、総監督といえるのが医師の朱永真さん。そして療育アロマの形にしたのがアロマセラピストであり薬剤師の久保浩子さん。朱さんは朱クリニックの院長でありアロマセラピストを育てる学校の運営者でもあります。
    
クリニックでは発達障害の子にアロマセラピーも行っています。「補完医療」としてのアロマセラピーです。アロマがなぜ発達障害の子に良いのか、朱さんと久保さんにお聞きしました。

聞き手は江頭恵子さん。学習障害のお子さんの母親でもある編集者。発達障害関連の書籍を多数手がけています。
 
 
 
 

発達障害の子にアロマという安心を

第1回


緊張した脳と体をほぐす。
それだけで変化があらわれます。

<今回のお話のポイント>

●緊張感で、とんがっている神経をアロマで緩和。

●毎日の習慣としてアロマを取り入れてほしい。

●アロマオイルのマッサージで、子どもの体調の把握を。

●子どもの成長に欠かせない親子のスキンシップを、アロマオイルのマッサージで。

●芳香浴やマッサージで睡眠の質が良くなる。

tobiracoの療育アロマはこちら

Jojoba green plant with fruits on a farm

続けることが大事。毎日の食事のように、アロマを取り入れてほしい。

江頭

発達障害の子にとって、アロマセラピーはどのように効果を発揮するのでしょうか?

アロマセラピーは医療の世界でも様々な疾患からくる心身の不調に悩まされる患者さんに補完医療として用いられています。
私は、障害のある子だけが特別だとは思っていなくて、人はみんな一緒だと思っています。たとえば、更年期障害の女性たちだって同じ。女性ホルモンの分泌が低下することで自律神経が失調状態に陥り、動悸がしたりめまいがしたりする。それを落ち着かせるためにホルモン剤や抗不安薬を飲まなくても、アロマセラピーで落ち着くのだったら、その方法を選択しますよね。
 
発達障害のある子どもたちも、気持ちが緊張して体がガチガチに硬くなっていたり、良い睡眠がとれていなかったり、逆に頭がぼんやりしてやる気が起きなかったり、注意が散漫で集中できなかったりするわけです。そういうとんがっていたり、逆にへこんでいたりするところを日常生活の場で気軽に整えることができるといいですよね。アロマセラピーでその調整ができるのです。

江頭

小児精神科医など病院を受診すると、ソーシャルスキルトレーニングなどがうけられることもありますが、結局はリタリンなどの薬が処方されます。
もちろんお薬が必要なケースがあると思いますが、親としては、この薬をいつまで飲ませるのだろう? いつかは辞められるのだろうか? と不安になります。

そうですね。薬を飲まなくてすむのなら、その方がいいと思う保護者は多いでしょう。だけど、言い聞かせたところで子どもは変わらない。サポートしてくれる人の介入度も限られている。指導者がついてもうまくいかないなど、療育のシステムが十分に整っていないところで、その隙間を埋めるために、アロマセラピーが活用できるのです。
つまり、この子たちが毎日を過ごしやすく、快適に生活しやすくなるためにアロマが活用できるということです。

江頭

鍼灸などは、持続して受けるには療法として難しいと思いますが、アロマセラピーなら、家庭でも手軽にできそうですね。

そうです。そこが大切で、生活に取り入れて定期的にやっていくこと、時間をかけてやり続けることが大事です。毎日の食事と一緒で、体によいものをとり続けることで健康になれるように、アロマセラピーも生活に取り入れて習慣にすることで効果が徐々にあらわれるのです。
 
芳香療法とマッサージの相乗効果がアロマの大きなメリットといえます。お母さんが毎日子どもにしてあげるといいですね。緊張がほぐれます。気持ちがよいとわかると、子どもの方から「マッサージして」と言ってくるようになりますよ。
 
お母さんが子どもにマッサージしてもらうのもいいですね。お母さん自身が子どもの体に触れる習慣を持つことで、その日の子どもの調子を理解しやすくなるメリットもあります。アロマは子どもの成長に重要な親子のスキンシップ、コミュニケーションのツールとなるのです。

 

アロマオイルマッサージで体の力を抜くとぐっすり眠れる。

江頭

体がほぐれてリラックスできると、寝つきもよくなりそうですね。

それも大きなメリットです。人にとって質の良い睡眠はとても重要です。大人の私たちも眠れなかった次の日は体調が全然違うことがわかりますが、成長期の子どもたちにとっては、大人以上に睡眠が重要です。脳と体の疲れをリセットし、自律神経が安定するのです。
睡眠時間だけでなく、どれだけ深く眠れているかという睡眠の質も大事なんです。発達障害のある子どもたちは、睡眠障害を抱えているケースも多いので、寝る前のアロマオイルマッサージで一日の疲れと緊張をほぐすことで、ぐっすり眠れるようになります。

江頭

睡眠不足が続くと、頭がぼんやりしますものね。

やはり、1日をどうすごすかの生活リズムは大切です。日中の活動に集中するためには、寝不足ではいけないし、不安感があってもいけない。痛い、かゆいなどの不調があってもいけない。それらの不快状態を改善するために、精油による芳香浴やマッサージを使いましょうということです。

編集部

次回は、日々、発達障害の子どもにアロマオイルマッサージをしている久保浩子さんに参加していただきます。

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2回目 マッサージで落ち着く。4月16日

3回目 マッサージで深まる親子の絆。4月19日

4回目 「西洋医療」と「補完代替医療」のコラボレーション。4月22日

5回目 自立のためのアロマオイル。4月25日

統合医療「朱クリニック」院長/日本アロマセラピー学会認定医/日本外科学会認定医/日本消化器外科学会認定医/日本救急医学会認定医
朱永真

しゅ・えいしん

1982年 日本大学医学部卒業後、同大学医学部第一外科入局。1992年から5年間、日本大学板橋病院救命救急センター勤務。1999年西洋医学と補完代替医療を統合した医療をめざす朱クリニックを開院。2005年 「オリエンタル・アロマセラピィ・カレッジ」開校、講師、理事長兼任。統合医療の観点から発達障害の子どもたちに精油を使った「メディカル・アロマセラピィ」実践し成果を上げている。

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編集者、ライター
取材/構成/文 江頭恵子

えがしら・けいこ

フリー編集者、ライター。発達障害をテーマにした書籍が多い。
「発達障害の僕が輝ける場所をみつけられた理由」(栗原類著 KADOKAWA)「15歳のコーヒー屋さん 発達障害のぼくができることから ぼくにしかできないことへ」(岩野響著 KADOKAWA)「育てにくい子にはわけがある」(木村順著 大月書店)「これでわかる 自閉症とアスペルガー症候群」(田中康雄・木村順監修 成美堂出版)「これでわかる 「気になる子」の育てかた」(木村順監修 成美堂出版)「発達障害の子を理解して上手に育てる本 幼児期編」(木村順監修 小学館)「「小学校で困ることを」を減らす親子遊び10」(木村順監修 小学館)「発達が気になる子の「できる」を増やすからだ遊び」(笹田哲監修 小学館)「発達支援実践講座 支援ハウツーの編み出し方」(木村順著 学苑社)「なんだかうまくいかないのは女性の発達障害かもしれません」(星野仁彦 PHP研究所)「発達障害に気づかない母親たち」(星野仁彦 PHP研究所)「4歳までの「ことば」を育てる語りかけ育児」(中川信子著 PHP研究所)「子どもの発達に合わせたお母さんの語りかけ」(中川信子著 PHP研究所)「子育てのモヤモヤ・ウツウツが晴れる本〜こころがラクになる考え方」(中川信子 伊藤郁子 花山美奈子 共著 PHP研究所)

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