発達障害の子をもつ親のいちばんの悩みは、周囲の理解を得にくいことです。悪気はないのに、周囲とトラブルになりやすく誤解されやすい子どもたち。周囲の無理解で親子ともに傷つくこともあります。前編はママたちの悩み、後編は通級の上手な活用法を中心にお届けします。

ママたちが語るうちの子の学校生活 前編

「なぐさめ」より「理解」を

落ち着きがない、文字や数が苦手などの発達障害の特徴を聞くと、うちの子だってと思うお母さんも多いでしょう。

でも、それは発達障害を理解していないから言えること。発達障害のある子たちの生きづらさや、保護者が抱える悩みは、レベルが違います。

「男の子ってそんなもんよね」「ウチとそんなに変わらないよ」と、なぐさめられるより、「大変だね。どんなふうなの?」と聞いてほしい、というのがお母さん達の気持ち。
では、どのような点が誤解されやすいのか、お話を伺いました。

ご登場いただいた4人のお母さんたちは、お子さんが通級に通っている保護者仲間。東京在住です。

通級とは普通級に在籍しながら、週に1〜2回、別の教室に通い、コミュニケーションや文字など、その子が苦手なことを中心に、個別や小集団指導を行う教室です。子どもを支援してもらえるのはもちろん、保護者も相談の窓口ができ、同じ悩みを持つ保護者同士で励まし合える場になっているそうです。

 

【Aさん】
小6男の子。広汎性発達障害。人の気持ちを理解するのが苦手。

時間や人づきあいにまったく融通がきかない
幼稚園のころから「ですます調」で話し、友達と遊ぶのが苦手な子でした。文字や数はわかるけど人の気持ちがわからない面があり、通級に通っていますが、周囲からは「授業を妨害するわけでもないのになぜ通うの?」と言われます。

ゲームの途中で友達が「次はサッカーやろう」と言っても、「俺はゲームやる」と平気で言う。お客さんに「この人たち何時までいるの?」と言う。幼稚園児ならまだしも、この空気の読めなさは、小学生だと受け入れてもらえません。

「あの子変な子」と親が追い打ちをかけないで
子どもの世界は残酷。大人は配慮があるけど、「あいつは変」となると、からかいの対象になります。
わかりにくい特性だけど、まずは大人に理解してほしい。もし勝手に早く帰っても「Aくんも3時まで楽しんでたからいいじゃない」と、フォローを入れてほしいです。「何、あの変な子」と、追い打ちをかけないようにしてほしいですね。

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【Bさん】
小4の男の子が学習障害が疑われ、午後にはじっとしているのも苦手。

聞けば理解できるのに文章を読んで理解できない
小学校で文字を学びはじめて、文字を読むのが難しい学習障害があるようだとわかりました。そのため、集中が続かないのか、午後になると、席についていられないようになり、先生から「困っています」と呼び出されました。

通級で落ち着くようになった
算数のテストも問題を読んで聞かせれば解けるのに、問題を読むと、正確に把握できなかったり、書くのに時間がかかったりで、できないことがあります。通級に通うようになって落ち着きましたが、「通級」というものの存在も、言われなければ知らないままでした。

たとえば、2歳になっても歩かなかったら、心配になって病院でみてもらいますよね。発達障害も「何歳までに何ができなかったら専門家に相談しよう」というような、指標があるといいと思います。

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【Cさん】
小5の男の子。注意欠陥多動性障害があり、じっとしているのが難しい。

極端に気が散りボディイメージも未発達
うちも多動で、1年生の時は教室から出て行くし立ち歩くしで、落ち着かない。授業中に友達の頭をポンポンたたいてまわり迷惑ですよね。学校公開に行くと、みんなは先生の話を聞いているのに、息子だけ離れたところでゴロゴロしている。他のお母さんから「何あの子」という目で見られました。通級に通って3か月くらいたって、立ち歩くことはなくなりました。

多動は頭がボンヤリしているのが気持ち悪くて、自分の体に刺激を入れるために、動き続けるケースがあります。そこで、お医者さんと相談し、頭をスッキリさせる薬も飲んでいます。これまで、友達の消しゴムが落ちてもついていき、給食のにおいがすると「カレーか。最近、食べてないな」と思考がとんで戻れなくなっていたのが、少し落ち着いています。

同じクラスは困ると言われて
また、自分の体の輪郭をつかむ「ボディイメージ」も希薄で、気になるものがあると、まわりの人にぶつかっても気にせず突進することがあり、周囲の誤解を招きます。

息子と同じクラスは困るというお母さんもいますが、通級がどういう所か、そこに通う子はどんな子たちなのかをわかってもらえるような活動をして、受け入れられる日が来ることを望んでいます。

 

【Dさん】
中2の男の子が受動型アスペルガー症候群で思わぬことで傷つく。

嫌なことを忘れられず3か月前の記憶も鮮明
うちは自分の気持ちを言えない受動型のアスペルガー症候群で、同じ出来事でも、感じ方が人と違うことが多々あります。たとえば、ただぶつかっただけの出来事を、わざとやられたととらえて落ち込みます。

驚くのは、3か月前のことを思い出し、「Fくんがぶつかってきて痛かった」と、訴えてくることです。今日の話かと聞いていると、ずいぶん前の話で、「そのとき痛かった」と言う。何かの拍子で思い出すようですが、周囲の人は今さら言われてもと戸惑いますよね。

困っていることに気づいてもらえない
この子たちの記憶は消えてなくて、ふとしたときに鮮明に蘇って落ち込みます。それが積み重なると人間不信になるので、「そんなことはないよ」と、細かく伝えています。息子は人に迷惑をかけるタイプではありませんが、困っていることに気づいてもらえないことが多く、今後も苦労をしないか心配です。

(続く)

取材・構成・文/江頭恵子 撮影/濱津和貴

 

ママたちが語るうちの子の学校生活 後編 通級を上手に活用しよう

 

この記事は、子育て雑誌『edu』(小学館、2016.3月号で休刊)の別冊『発達障害の子の子育て応援BOOK』(2015年発売)に掲載されたものです。
 
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