tobiracoのおすすめ棚
家庭でできること満載。
専門家と保護者をつなぐバイブル的な1冊
『みんなでつなぐ 読み書き支援プログラム フローチャートで分析、子どもに応じたオーダーメイドの支援』(井川典克監修 高畑脩平・萩原広道・特定非営利活動法人はびりす編著 2020年 2,420円)。
タイトルだけ聞くと、ちょっと難しそうに思えるかもしれません。主に支援者に向けた本だからだと思います。でも、家庭でできることやおすすめ文具などがも掲載されていて、保護者含めて支援するすべての人に役立つ本です。
読み書きに困難のある子なら、きっと以下のどれかにあてはまると思います。
●読字トラブルあるある
文字に興味を示さない
逐次読み(ポツリ、ポツリ読む)になる
読み飛ばし/勝手読み
特殊音節を間違える(例:きっぷ)
似た文字を間違える
読解できない
●書字トラブルあるある
鉛筆を正しく持てない
きれいに文字を書けない
文字のバランスが悪い
文字を正しく書けない
聞いた音と文字が一致しない
板書が遅い/できない
(『みんなでつなぐ 読み書き支援プログラム フローチャートで分析、子どもに応じたオーダーメイドの支援』より)
これらは、ぜんぶ、それぞれに別々の原因があります。
前半は理論なので、ちょっと専門的です。難しそうと思ったらスルーして、後半の家庭でもできる具体的な支援をパラパラとめくってみてください。へ〜、こういう遊びが読み書き困難にいいんだと驚かれるかもしれません。
ただ、読み書きがなぜ困難なのかを知らないと、うまく支援ができないので、結局、前半を(斜め読みでもいいので)をさっと目を通していただくといいかもしれません。
前半を読むと、読み書きがうまくいかない原因というのは、こんなにもたくさんあることに驚きます。同時に、原因がわからないまま、読み書きの練習というのがいかに子どもを苦しめてしまうのかということもわかります。
同じ文字を繰り返し練習する反復学習は、その最たるもの。もし、反復練習しても一向に覚えられないという場合は、ぜひ本書を参考にしてください。
たとえば眼球の運動に問題があると、文字の読み書きが困難になります。
この場合、おすすめの遊びのひとつが「吹き戻し」です。フーッと吹くと、先っぽの紙がピロピロと伸びて、吸うと丸まって戻る、駄菓子屋さんで売っていそうなあの笛です。息を吸うときは両目が寄って、吐くときは両目が離れるそうです。これが、眼球の運動になるのと同時に、姿勢をよくする効果もあるそうです。姿勢をよくしないと息の十分に吸ったり吐いたりできないからかもしれませんね。もうひとつ、眼球の運動には、もぐらたたきのおもちゃもいいそうです。
言葉をひとつの塊(かたまり)として認識できない「音韻処理」に問題があると、読むことができません。かなり大雑把に解説すると、「ら」「く」「だ」のひとつずつの音はわかっても、「らくだ」というかたまりで理解できないという感じです。もっといろいろなケースがあるのですが、ここではひとつだけ取り上げました。
音韻処理の問題を改善する遊びとして、しりとり、かるたなど昔ながらの遊びのほかに、アプリなども紹介されています。
おもしろいとおもったのは、リズム遊び。手を叩いて、音のリズムをとるというもの。50音はパーで手を叩き、小さな「っ」はグー。
「ねこ」は、パン(ね)、パン(こ)と手を叩きますが、「ねっこ」はパン(ね)、グー(っ)、パン(こ)、というように一拍おきます。はっぱ、ラッパ、などいろいろできそうですよね。
ドリルは、親も子もしんどいというときには「楽しく、遊べる」ものが何よりです。すでに発売されていたのですが、見落としていました。ある人に「これいいよ」と紹介されて、あわてて購入した次第です。
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