知って、備えて、安心したい
まず、「知っておくこと」。
障害のある子との暮らしを支えてくれる公的制度や情報は多岐にわたっています。特に福祉制度やサービスは申請した人だけが受けられるものがほとんどです。制度とサービス全体を見渡せる情報を入手しておくと、今だけではなく、先の見通しもつきます。医療機関、学校での合理的配慮の情報も障害のある子との暮らしでは欠かせません。今すぐに役には立たなくても、まずは「知っておくこと」が大事。
ここでは、次の4つの信頼できる情報源をご紹介します。
●相談窓口がわからないときの相談窓口
●福祉の制度やサービスを入手できるサイトや書籍
●医療機関や薬のガイド
●合理的配慮の事例
相談の窓口や相談の仕方を間違えないために
障害児者のための自治体や各省庁の相談窓口は多岐に渡っています。困っているけど、どこに相談したら良いのかわからないという人も少なくないでしょう。あるいは、相談したけど、納得の得られる回答ではなかったという場合もあります。 そんなときのために、内閣府が相談者と相談窓口のつなぎ役になる「つなぐ窓口」を設置しています。
福祉制度とサービス全体を見渡す
【ドコモ・プラスハーティの障がい者情報サイト ハーティサロン】
株式会社ドコモ・プラスハーティが運営しているサイト。もともとは障害のある家族がいる社員のためにつくられたのサイトです。とてもわかりやすく評判がよかったため、広く知ってもらおうと公開したそうです。監修しているのは、内閣府障がい者差別解消法アドバイザーなどを勤め、福祉の世界にこの人ありといわれる、又村あおい氏。わかりにくい福祉制度を、わかりやすく深く解説してくれるサイトです。
動画でわかる 障がい者 福祉制度・サービスもチェックしてみてください。
そのほかにも、就労マンガやブログなど、おもしろいコンテンツが満載です。
国が提供する発達障害に特化したポータルサイトです。当事者や家族、支援者のどちらにも役立つ情報が満載。障害児者のライフステージにあわせて、さまざまな切り口でナビゲートしてくれます。
【『障害のある子が将来にわたって受けられる サービスのすべて』】
監修者は「親なきあと」相談室主宰の渡部 伸氏。就学、就労、障害年金、住まい、親なきあとのことなどライフステージごとに受けられる制度やサービスを解説。ご自身が知的障害のある娘さんの父親なだけに親の立場に立っての細やかな視点が行き届いた一冊です。福祉の基本的な情報は、この一冊で押さえておけます。ただし、この数年で福祉の制度はアップデートされつつあります。最新の情報は厚生労働省や自治体のホームページでチェックしておくと良いと思います。
【自治体のホームページ】
福祉サービスの提供者は地域の自治体です。自治体のホームページの「福祉課」「障害福祉課」などにアクセスしてみてください。サービス一覧が掲載されている自治体もあります。福祉の情報提供の仕方は自治体によって違います。サービスの内容も微妙に違うこともあります。自治体の福祉相談窓口に直接電話で問い合わせて確認すると良いと思います。
医療関連の情報
【発達障害を診断できる医師のいる医療機関】
一般社団法人小児神経学会のホームページに全国の発達障害診療医師名簿が掲載されています。
【障害児者専門の歯科医のいる医療機関】
歯科治療は障害の知識がある医師がいる歯科医院なら、親も子もストレスを回避できます。
公益社団法人日本障害者歯科学会のホームページ画面の「認定医・専門医を探す」をクリックすると、都道府県ごとの地図が出てきます。ここから、地元で認定医・専門医のいる歯科医院を探すことができます。
【薬に関する情報】
神経科学分野の専門家が中心となって作成された発達障害の当事者とまわりの人のための 薬はじめてガイドは、薬の効果のしくみから上手なつきあいかた、医師への伝え方などがわかりやすく説明されています。冊子は最大200部まで無料で送ってくれます。PDFをダウンロードして読むこともできます。
合理的配慮、学校での事例
【インクルDB】
2024年4月1日から義務化の「合理的配慮」。公立の学校はすでに義務化されていました。でも事例を知る機会が少なく、どのような配慮があるのかを知りたいという人が多いのではないでしょうか。文部科学省の傘下にある独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所で合理的配慮の事例がインクルDB(インクルーシブデータベース)として公開されています。参考になる事例が多数掲載されています。